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2015-02-16 12:27    louis vuitton長財布
 ありふれた世間話だった。主に東欧のマイナーな映画監督の話題で、丸顔の大学院生が嬉々として語るマニアックな説明を、僕は黙って聞いていた。その監督に僕はなんの関心もなかったが、先輩はそれに気づかないまま、得意げに話を続けている。  こうやって誰かと話を合わせるのは得意だった。意識して身につけた特技といってもいい。  それは猟奇的な殺人事件の犯行現場を訪れて写真を撮るという、あまり大っぴらにできない趣味に目覚めた頃からの僕の習性だった。善良な小市民として目立たず生きていくのに便利だし、調べたい事件について情報を集めるにも都合がいいからだ。  それに殺人事件について調べていると、結果として新聞やネットのニュースサイトを隅々まで読み漁ることになる。必然的に雑談のネタには困らない。あまり自慢にもならない僕の特技は、そうした特殊な嗜好の副産物だった。  講義が始まるまでには、少し時間があった。登塾してきている生徒の数もまだ多くない。  雑談の内容はいつの間にか、何日か前に起きた事故の話題に変わっていた。そうなるように僕が仕向けたのだ。彩吹駅のホームで、女子高生が階段から転落したという事故である。新聞にも載らないような日常の小さな出来事だ。僕はその事故に興味を持っていた。 「階段から落ちたのはうちの塾の生徒だよ。たいした怪我じゃなかったらしいけど」  予想どおり先輩はそう言った。事故の起きた時間帯からして、被害者が雙羽塾の塾生である蓋然性は高く、その手の噂が広まるのは早い。そろそろ塾講師の耳に情報が届いてもおかしくない頃合いだった。 「ただの事故ではなくて、誰かに突き落とされたんじゃないか、って噂を聞いたんですけど」  何気ない口調を装って僕は訊いた。ほかのバイト講師に聞いた噂を確認するだけのつもりだったが、先輩の反応は少し意外なものだった。僕のほうに身を乗り出して、わざとらしく声を低くする。 「らしいな。なんか変な話も広まっているみたいだし」 「……変?」 「俺の受け持ちのクラスに、その子が落ちた瞬間を見たって生徒がいてさ。まあ、目撃者っていっても、そいつがいたのはだいぶ離れた場所だったらしいけど」 「はい」  僕はうなずいて、先輩の話の続きを待った。  戸惑っているような彼の口振りのせいで、逆に興味が湧いてきた。雑談につき合って彼の口を軽くしておいたのは、正解だったかもしれないと思う。だが僕のそんな目論見は、慌ただしいノックの音にあっさりと邪魔された。  僕たちは怪訝な表情で振り向いた。講師控室の入口を勢いよく開けて入ってきたのは、線の細い真面目そうな生徒だった。  僕の知らない顔だった。どことなく中性的な雰囲気の、綺麗な顔立ちの男子生徒で、そのせいか、短い髪と少し野暮ったい印象の眼鏡が目立つ。この辺りではあまり見かけない暗い灰色のブレザーは、音瀬市の公立高校の男子の制服だ。